7月1日、一年の後半の始まりです。
この節目にあたり、最近、クーラーの冷気で喉を壊すお弟子さんが急増しています。
喉は芸事にとって命といえる大切なもの、守りたいですね。
特効薬があればいいのですが、古くからの知恵を参考にしながら、日々のケアを大切にしてください。
さて、この思いから、端唄「お互いに」の話をいたします。
端唄「お互いに」
お互いに 知れぬが花よ 世間の人に
しれりゃ互いの 身のつまり
あくまでお前に 情たてて
惚れたが無理かえ しょんがいな
迷うたが無理かえ
この端唄の女主人公は、花のように美しくも儚い存在。
世間の目に触れることで二人の関係が破滅することを知りつつも、男への愛情を捧げます。
それが無理ならば、こんなに迷わせたお前も罪な人だと、女が男の膝にもたれかかる情景が浮かびますね。
江戸時代、この端唄の送りに「八五文でこりゃ奇妙」という文句を加えました。「藤八五文」とは、一粒で万病に効くとされる売薬のことですが、これは明治の通人たちが加えたものです。「縁は異なもの」という意味合いで、唄を締めくくるための縁語として「こりゃ奇妙」を用いたのです。
皆様も、お互いの知恵や工夫を凝らし、芸事に励んでください。特効薬が無くとも、心の通う仲間と共に居るだけで、それが特効薬になるやも知れません(笑)
Comments