「鬼平犯科帳」朗読劇を終えて
- 﨑 秀五郎
- 6月22日
- 読了時間: 2分
江戸の町に生きる一人として──
昨日、台東区に暮らす身として特別な想いを込めて、「鬼平犯科帳」朗読劇に参加させていただきました。
原作者・池波正太郎先生の世界に敬意をこめ、私は端唄師として自ら綴った歌詞を、端唄の旋律にのせて披露いたしました。
鬼平の持つ優しさと厳しさ、そして江戸の風情──
それらを一音一語にこめ、舞台の空気と共鳴するように唄わせていただきました。
そして何より、松本幸四郎さんに端唄というジャンルをお聴きいただけたことは、まさに芸の冥利に尽きる出来事でした。
幸四郎さんの纏う空気、発する言葉、その一つひとつが鬼平の魂となり、舞台を越えて客席に届いていたように思います。
その空間の一隅に、端唄がそっと寄り添えたこと──それが何よりの喜びです。
また、今回の公演を通じて、普段なかなか触れていただけない「端唄」という芸能に、多くの方が関心を寄せてくださったこと。
それもまた、大きな意味を持つ出来事でした。
この機会を与えてくださった美鵬成る駒さん、
そして私を見つけてくださり、作品に端唄を取り入れてくださったき乃はちさん、
お二人のご縁に深く感謝申し上げます。
リハーサルはたったの一回、ゲネプロも一回きり。
それでも本番の舞台では、音楽と語りが奇跡のように結び合い、まさに「一度きり」の芸の醍醐味が凝縮されていたように思います。
それは、即興性と集中力の中にこそ生まれる、芸の真骨頂なのかもしれません。
なお、この朗読劇は収録されており、後日「時代劇専門チャンネル」にて放送予定とのことです。
詳細が決まり次第、改めてご案内させていただきます。
ぜひ、画面越しでもその空気を感じ取っていただけましたら嬉しいです。
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火盗改 斬れば人情 花の雨
(かとうあらため きればにんじょう はなのあめ)
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鬼平の如く、人を見つめ、己を律しながら、
私もまた、端唄という道を一歩ずつ歩んでいけたらと思っております。
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